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実家からこんにちは。とみぃです。

何だか自宅PCに触れていない時のほうが、何気に絶好調かもしれません。
というわけで、掲載予定の創作、一部だけ公開しときます。

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コツコツと誰かが歩いてくる音がした。

私が逃げることはできないとわかっているのだろう、すでに拘束は解かれ、手は自由になっている。

またヴィンセントだろうか。

彼の昏く淀んだ、そして狂った瞳を思い出すと、背筋が凍った。

彼は自分を殺すつもりなのだ。あの瞳には、はっきりと殺意がこもっていた。

いつまでこうして生かされているのだろう。

彼の口調から、自分は誰かをおびき出す囮なのだと推測できたが、その対象が誰なのかわからない。

そもそも私自身が取引材料になりえるものなのだろうか。

私がいなくなって困る人物など、カインくらいしか思い付かない。でもカインとヴィンセントに接点はないはずだ。



足音はだんだん近くなり、やがて牢の前で止まった。

思わず身を固くした私に、誰かがそっと話しかけてきた。ヴィンセントではない。

「姫」

誰だろう。どことなく聞き覚えがある。

この声の持ち主ならば、自分に危害を加えることはないと、なぜだか確信できた。

「誰?」

恐る恐る鉄格子に近づく。

そこにいたのは、思いもかけない人物。

「僕です。姫」

そう言ってにこりと微笑んだのは、闇に紛れて暗躍する、怪盗コールドムーンその人だった。

何故彼が、そう思うと同時に、ああそう言えばと思う気持ちもあった。

確かに彼ならば、ヴィンセントに恨まれる要因がある。

ヴィンセント逮捕の決め手となったのは、ほかでもない、彼らの活躍のおかげだからだ。

ただ一つ納得がいかなかったのは、怪盗たちをおびき出す囮が私だったということだが。

「どうしてあなたがここに?」

「あなたを助けに来ました。姫」

よどみなく答える声。偽りが含まれている様子はない。

思わず手を伸ばそうとしたが、僅かな違和感を感じて思い止まった。私たち以外に、誰かがいる。

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