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コルダの続きも書いてました。
こっちも少しだけ載せておきます。

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「こんなところにいたのか」

ドアを開けた人物は、そう言って香穂子のもとへと歩いてくる。

「あ、土浦くん」

途端に、香穂子から何かを知っている風の表情は消え去り、元のぽやんとした顔が戻ってきた。

「あ、じゃなくて」

そこまで言ったところで、土浦は初めて柚木に気付いたようだった。

はっとしたように頭を下げる。

「君は……」

確かコンクールに途中参加となった普通科の生徒だったはず。

柚木が名前を思い出す前に、土浦は自分から名乗ってきた。

「土浦梁太郎、普通科二年です」

「確か楽器はピアノだったね。僕は柚木梓馬。どうぞよろしく」

別に馴れ合うつもりなどなかったが、相手が名乗っている以上、こちらも名乗るべきだろう。

上っ面だけの挨拶を返しながら、柚木はそっと香穂子の様子を伺った。

鋭く見えた瞳は気のせいだったのだろうか。

視線に気付いたのか、香穂子が柚木に目を向ける。

反射的ににこりと笑いかけてやると、真っ赤な顔で俯いてしまった。

その様子はとても自然で、作為的なものは感じられなかった。



「ほら。いい加減行かないと」

割り込むように土浦が声を出した。その様子は、どことなくいらいらしているように、柚木には見えた。

「えと、何だっけ?」

香穂子は何を急かされれているのかわからないようで、キョトンとしている。

「あのなぁ、練習室予約してただろ?俺の隣。早くしないと練習時間なくなるぞ」

「ああ、そっか。忘れてた」

「ほれ。行くぞ」

香穂子の背を軽く押して、土浦は柚木に会釈した。会話から締め出された格好の柚木は、呆気に取られながらも「ああ」と気のない返事を返す。

「じゃあ、柚木先輩。私行きますね」

香穂子はそう言ってぴょこんと頭を下げると、土浦と共に去っていった。



妙に親しげな二人の態度が何だか気に食わない。

誰もいなくなった屋上で、柚木はフルートを手に取った。

が、それを吹く気にもなれずケースに戻した。

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