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逆転裁判4より茜←響也。
短いです。
報われない響也に歪愛。
それでもよしとする方は続きからどうぞ




知ってほしい。
自分がどれだけ彼女を見ているか。
知られたくない。
みっともないほど取り乱している心の中を。

けれどもどちらも現実にはなりそうもない。
彼女は僕を見ていないから。
どんなに近くで会話をしていても、彼女の視線は僕と絡まない。
彼女の心に触れることも出来ない。触れさせてもらえない。
無理に触れたら、取り返しのつかないことになるんだろう。
それほどまでに僕は憎まれている。僕が「彼」を消してしまったから。
彼女との間に横たわった溝は、いったいいつ埋めることができるんだろうか。

「やあ、刑事クン」
「……」
声をかけても返事がない。
まさか会話をするのも嫌なほど嫌われているのかと身構えていると、安らかな寝息が聞こえてきた。
ほっとしたような残念なような複雑な気持ちで顔が見える位置まで回り込む。
頬杖をついたまま眠る横顔はあどけなくて、いつもの険しい表情はかけらもない。
「かわいい……」
思わず呟いてしまって、慌てて辺りの様子を伺った。
幸い近くには誰もいない。
こちらの様子を気にしている人もいないようだし、誰の耳にも入らなかったようだ。
とはいえ、いつまでもここに留まるわけにもいかない。
起きている顔を見ることはできなかったけれど、滅多に見られない寝顔を拝めたからよしとしよう。
手に持ったカリントウの袋をデスクに置いて、もう一度彼女を眺めると、僕は刑事課を後にした。
袋には大きくガリューウエーブのロゴを書いておいたから、誰が置いたか一目瞭然だろう。
果たして、彼女はどんな顔でそれを食すのか。
そして次に会った時、どんな顔で僕に接するのか。
それを考えるのは少し楽しかった。
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