更新詳細とかゲームの話とかいろいろ
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
雑多ジャンル更新第2弾です。しかも第1弾から時間が経ちすぎ。
ひぐらしのなく頃により、サトシオン。 悟史は寝てるだけです。詩音しか出てきません。 「祭囃し編」ネタばれを含みます。 それでもOKな方は続きからどうぞ。 見慣れた廊下を進むと、ツンと消毒薬の匂いが鼻をついた。幾度となく訪れているここは、相変わらずしんと静まり返っている。 上の賑わいはどこへやら。今私がいるフロアには、ごく限られた人しか訪れない。 あの日最初にここを訪れてから、もうずいぶん経った気がする。 実際は初夏が夏になっただけの短い期間なのにそう感じるのは、たった数日で様々なことが起きたからなんだろうか。 逢いたくて逢いたくて。 やっと逢うことができた彼は、扉一枚向こう側で未だ深い眠りの中にある。 こうして逢いに来ても、その瞳が開いているのを見ることは叶わない。 気持ちを落ち着けるように、扉の前で深呼吸する。 返事がないのを知りつつ、あえて軽くノックして引き開けて。 「こんにちは。悟史くん」 中に声をかけながら私はベッドの側に歩み寄った。 固く閉じた瞳。 僅かに開いた唇。規則正しい寝息。 悟史くんだけを見れば、ただ普通に眠っているように見える。 けれどもここは病院で。 悟史くんの体にはいくつものチューブが刺さっていて。 それが目の背けられない現実。いくら待っていても、悟史くんが目を覚ますことはない。 病気で眠っているだけならば、いつかはという希望があるだろう。例えそれが細い希望の糸だとしても。 けれど彼の場合はそうではない。薬でずっと眠らされているからだ。 薬さえ止めてしまえば、いつでも目覚めさせることができる。最初のうちは、幾度誘惑にかられたことか。 また笑ってほしい。 また頭をなでてほしい。 でも、目覚めさせてもそれは叶わない。 今はただ、監督の言葉を信じて待つだけ。 「落ち込んでばかりじゃ、駄目ですよね」 暗くなりそうな気持ちを押さえるように、パンと両手で頬を打つ。 全く希望がないわけじゃない。 治療法が確立されるのも時間の問題だと監督が言っていたじゃないか。 それに。 「沙都子のほうが、もっと辛い」 こうして顔を見にこられる私より、行方を知らされていない沙都子のほうが辛いに決まっている。 悟史くんが追い詰められたのは確かに沙都子のせいだけど。 そのことで随分沙都子を憎みはしたけれど。 もうそれはどうでもいい。 「沙都子、すごく強くなりましたよ」 悟史くんによりかかっていた、弱い沙都子はもういない。 今なら彼にすがることなく、共に肩を並べて歩いていけるだろう。 「それにね、最近やっとカボチャを食べられるようになってきたんですよ」 半ベソでカボチャを頬張る沙都子を思い浮かべて、くすりと笑う。 「こうなったら、競争ですよ。悟史くんが帰ってくるのと、沙都子がカボチャをおいしいと言ってくれるのと、いったいどっちが先になるんでしょうね」 温もりを確かめるように悟史くんに身を寄せた。感じる温かさは、確かにここに悟史くんがいるという何よりの証拠だ。 目を閉じれば、いつかの笑顔が浮かんでくる。 そのとなりには、満面の笑みで大きなぬいぐるみを抱える沙都子の姿。そして、柄にもなくはにかむ私。 そんな未来が近く訪れることを信じたい。 「待ってるよ。みんな。悟史くんが帰ってくるのを」 そうしたら、今度はちゃんと「詩音」として悟史くんのそばにいたい。 あの夏の日にできなかったことをたくさんしたい。 そしてきちんとこの気持ちを伝えよう。 カナカナカナカナ…… 外でひぐらしが鳴き始めた。 そろそろ帰らなければならない。 けれどもう少し触れていたくて、なかなか起き上がることができない。 思わずうとうとしかけた時、何か温かいものが頭の上に置かれた気がした。 とても気持ちがいい。一度は無くしたぬくもりと、とてもよく似ている気がする。 今目を開けたなら、あの瞳と出会えるのだろうか。 それとも私はもう眠っていて、願望を夢に見ているだけなんだろうか。 抗うことのできない眠気の中、かすかに「むぅ」と言う言葉を聞いた気がした。 PR |
カレンダー
カテゴリー
最新記事
(11/03)
(10/27)
(10/11)
(10/03)
(09/14)
プロフィール
HN:
とみぃ
性別:
女性
ブログ内検索
カウンター
最新トラックバック
|